◆ 平成16年6月22日 東京地裁 平15(ワ)17689号
原告 X
同訴訟代理人弁護士 ●●
同訴訟復代理人弁護士 ●●
被告 GEコンシューマー・クレジット有限会社承継人 GEコンシューマー・ファイナンス株式会社
同代表者代表取締役 ●●
同訴訟代理人弁護士 ●●
同訴訟復代理人弁護士 ●●
主 文
1 被告は、原告に対し、156万1218円及びこれに対する平成11年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを4分し、その1を原告の、その余を被告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。
事 実
第1 当事者の求めた裁判
1 請求の趣旨
(1) 主位的請求
ア 被告は、原告に対し、202万1540円及びこれに対する平成11年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
イ 訴訟費用は被告の負担とする。
ウ 仮執行宣言
(2) 予備的請求
ア 被告は、原告に対し、162万7557円及びこれに対する平成11年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
イ 訴訟費用は被告の負担とする。
ウ 仮執行宣言
2 請求の趣旨に対する答弁
(1) 原告の請求をいずれも棄却する。
(2) 訴訟費用は原告の負担とする。
第2 当事者の主張
1 請求原因
(1) 主位的請求
ア 原告は、昭和60年4月3日、被告から10万円を借り入れ、それ以降、平成11年7月17日まで、別紙計算書〈1〉のとおり、借入れと弁済を繰り返していた。当該取引において原告が被告に弁済した元利金のうち、利息制限法が定める制限利率を超える利息の支払に相当する部分を順次元本に充当して計算し直すと、原告には、借入金元本を完済した後、202万1540円の過払金が生じていたことになる。
イ 被告は、原告から利息制限法所定の制限利率を超える利息の弁済を受けることについて、悪意であった。
(2) 予備的請求
ア 被告は、平成5年8月24日以前の取引経過については開示せず、同日以降の取引についてのみ開示する。そこで、被告が開示した範囲の取引について、平成5年8月25日時点の残元金が存在せず、同日から新たに取引が開始したとすると、原告は、別紙計算書〈2〉のとおり、借入れと弁済を繰り返していたことになる。そして、当該取引において原告が被告に弁済した元利金のうち、利息制限法が定める制限利率を超える利息の支払に相当する部分を順次元本に充当して計算し直すと、原告には、借入金元本を完済した後、162万7557円の過払金が生じていたことになる。
イ 上記(1)イと同じ。
(3) よって、原告は、被告に対し、不当利得に基づき、主位的に、利得金202万1540円及びこれに対する最終弁済日の翌日である平成11年7月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め、予備的に、利得金162万7557円及びこれに対する同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
2 請求原因に対する認否
請求原因(1)ア及びイ並びに同(2)ア及びイはいずれも否認する。ただし、原告と被告との間の平成5年8月25日以降の取引が、別紙計算書〈1〉及び〈2〉の借入金額欄及び弁済額欄のとおりであることは認める。
理由
1 原告と被告との間で、平成5年8月25日以降、別紙計算書〈1〉及び〈2〉の借入金額欄及び弁済額欄記載のとおりの取引が行われたことは、当事者間に争いがない。
2 平成5年8月24日以前の取引経過について
(1) 原告は、被告との取引は、昭和60年4月に被告から10万円を借り入れたのが最初であると供述する(甲1)ところ、被告からは、平成5年8月24日以前の取引経過の開示はなく、契約書等の客観的証拠の提出もない。
しかし、乙第4号証の1及び2によれば、被告は原告に対し、平成5年8月25日の借入れ直前の時点における貸付残元金が95万5329円であったとの取引経過を開示していることが認められるところ、このことに、同金額が一回の貸付金額であるとは考え難い端数のある金額であること、争いのない平成5年8月25日以降の取引における貸付金額が1か月あたり概ね数万円であること、被告のような金融業者が原告のような一消費者に対して一度に多額の貸付をするとは考えにくいこと、また、被告は原告が弁済を続けていなければ原告との取引を継続するとは考えられないこと等の事情を併せ考えれば、原告は被告との間で、平成5年8月24日以前においても、相当程度の期間、借入れと弁済を繰り返していたことが推認される。
また、原告が被告から最初に借入れをしたのは昭和60年4月であったと供述するのは、本件と共に提起したアコム株式会社に対する訴訟において、同社から開示された取引経過によって、同社からの最初の借入れが昭和60年5月であったことが明らかとなったが、被告から最初に借入れをしたのは、アコム株式会社からの最初の借入れよりさらに約1か月前のことであったとの根拠に基づくものであり、原告の上記供述は、合理的で自然な記憶喚起を経た供述として信用できるというべきである。
(2) 昭和60年4月以降、平成5年8月24日に至るまでの、原告と被告との取引経過については、被告が平成5年8月25日以降の取引経過しか開示せず、同月24日以前の取引経過を開示しないこと、また、同取引経過を証する客観的な証拠もないことから、これを詳細に認定することはできない。
しかし、乙第4号証の1及び2によれば、原告は、平成5年8月25日以降、毎月借入れと弁済を繰り返しており、取引経過を全体的に見ると、毎月概ね1万5000円から2万円程度を借り入れ、4万円程度を弁済する(ただし、1月及び8月は、3万5000円から4万円程度を借り入れ、7万円程度を弁済している。)という取引を続けていたことが認められるのであり、上記(1)で認定・説示したところに照らしても、原告は、平成5年8月24日以前から、上記認定の平成5年8月25日以降の取引と同程度の借入れ及び弁済を繰り返していたと推認され、かかる推認を左右するに足りる証拠はない。そして、原告は、原告の平成5年8月24日以前の取引は、別紙計算書〈1〉のとおりである旨主張し、これに沿う証拠として、甲第1号証の陳述書を提出しているところ、別紙計算書〈1〉記載の平成5年8月24日以前の取引は、上記認定の平成5年8月25日以降の取引と一応同程度であると評価できる上、これを前提に約定利率年29%を適用して算出した平成5年8月25日の借入れ直前の時点における残元金115万0860円(弁論の全趣旨)が、被告が原告に開示した95万5329円に近似することに照らしても、原告主張の平成5年8月24日以前の取引経過は、一応合理的なものとして是認できる。もっとも、原告主張の別紙計算書〈1〉においては、平成5年8月24日以前の取引における毎月の弁済額が4万2000円であるとされているが、平成5年8月25日以降の取引における毎月の弁済額は、前記認定のとおり、1月及び8月以外は概ね4万円であるのであるから、控え目にみて、平成5年8月24日以前の取引においても、毎月の弁済額は4万円であったと認めるのが相当である。
(3) 本件では、原告と被告との間の取引の開始時期及びその後の取引経過が被告により開示されず、客観的な証拠は提出されていない。しかし、貸金業者である被告は、開示した取引経過(乙4の1及び2)の冒頭に貸付残高が記載されていることから明らかなように、原告との間で貸付と弁済を繰り返す取引を、平成5年8月25日の前後を通じて一連の取引と見ているのであるから、当該一連の取引が終了するまでは、当該一連の取引に係る取引経過についての資料を保管しておくのが相当であったといえる。このようにしておけば、取引について争いが生じた際にも、自ら取引履歴を開示することによって取引関係を明確にすることができたのであり、このような状況においては、被告から取引経過に関する資料の開示がなく、原告が詳細な取引経過を主張・立証することができないとしても、取引経過について、前記のような推認をすることは認められるというべきである。
(4) 以上より、原告の過払金については、別紙計算書〈3〉のとおり、平成5年8月25日に原告が被告から2万円の借入れを行う前の時点での残元金が4万7544円であったとした上で、利息制限法所定の制限利率を超過して支払われた利息を元本に充当して計算するのが相当と認められる。
3 被告が、原告の利息制限法による制限利率を超える利息の支払によって生じた不当利得につき、悪意の受益者といえるかについて
被告は、原告との間で貸付に関する契約を締結する際に、利率についての約定もしているのであるから、貸金業者である被告としては、その利率が利息制限法が定める制限利率を超えるものであることについて、悪意であったことは明らかであり、また、被告が利息制限法所定の制限利率を超える利息についても有効な利息債務の弁済であると認識していたとも認められない。
したがって、被告は、利息制限法所定の制限利率を超える利息の支払を元本に充当した結果、元本が完済となった時点で、その後の弁済には法律上の原因がないことについて悪意であったということができる。したがって、本件では、別紙計算書〈3〉のとおり、原告の被告に対する平成5年12月17日の弁済により元本が完済となった時点以降、被告は悪意の受益者であったと認められ、それ以降、被告は原告に対し、利得した金員に民法所定の年5分の割合による利息を付して返還する義務を負う。
4 以上より、原告・被告間の上記取引において、原告が被告に対して弁済した金員のうち、利息制限法所定の制限利率を超える支払を元本に充当した結果、元本が完済された後に支払われた額は、別紙計算書〈3〉記載のとおり、156万1218円であると認められる。
5 結論
以上によれば、原告の本訴請求は、被告に対し156万1218円及びこれに対する平成11年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める部分に限り理由があるからこれを認容し、その余の請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法64条本文、61条を、仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 藤下健 裁判官 西村欣也 裁判官 齊藤暁子)
別紙計算書〈1〉~〈3〉〈省略〉


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