2 原告の過払額について
(1) 請求原因(1)の事実は、争いがない。被告は、原告に対し、平成元年3月14日に15万円を貸し付けたと主張するが、その事実を認めるに足りる証拠はない(被告は、乙3として平成7年10月4日付け領収書兼残高確認書を当裁判所に送付したが、口頭弁論期日に出頭しなかったので、書証として提出されていない。)。
(2) 被告は、昭和63年10月1日の貸金30万円につき損害金、利息の弁済期限及び期限の利益喪失についての約定があったと主張するが、その事実を認めるに足りる証拠はない。
したがって、この貸金の利息の弁済について、原告に遅滞があったと認定することはできず、原告に損害金の支払義務が発生したとは認められない。
そうすると、原告がこの貸金の利息として被告に弁済した金額のうち、利息制限法所定の制限利息を超過する部分を残元本に充当すると、別紙記載のとおり、平成2年11月26日以降過払金が発生していた。そして、平成7年10月4日の貸金76万7274円につき被告主張の損害金、利息の弁済期限及び期限の利益喪失についての約定があったことは争いがないが、この貸付直後の時点で、原告には、別紙記載のとおり14万8279円の過払金があったから、もはや利息の弁済義務はなく、したがって、利息の弁済遅滞による損害金の支払義務もない。
以上によれば、原告の過払金は、別紙「残元金」欄記載のとおり、合計154万5282円である。
(3) 貸金業者であったことを自認している被告は、利息制限法と同法に関する判例理論を知っていたと推認され、被告が貸金業規制法17条及び18条の書面を交付したとの主張立証はないから同法43条の適用があると認識していたとは認められない。したがって、被告は、悪意の受益者であるから、原告に対し、受けた利益にその受益日から民法所定年5分の割合による利息の返還義務がある。
被告が返還義務を負う利息(平成13年11月20日までのもの)は、別紙「利息」欄記載のとおり合計39万9026円である。
(4) したがって、被告は、原告に対し、不当利得金154万5282円及び平成13年11月20日までの利息39万9026円の合計194万4308円並びに不当利得金154万5282円に対する同月21日から支払済みまで民法所定年5分の割合による利息の支払義務がある。
原告は、過払金に対する法定利息のほか、返還請求後の遅延損害金も請求しているが、重利を原則として否定している民法405条及び不当利得の損失者に法定利息を超える損害が生じた場合に限り悪意の受益者に損害賠償責任を課している同法704条の各趣旨にかんがみ、原告の遅延損害金の請求は、理由がないものと解する。
3 したがって、原告の請求は、以上の限度で理由があるが、その余は理由がないから、主文のとおり判決する。なお、訴訟費用の負担については、民事訴訟法64条ただし書を適用する。
(裁判官 菊池洋一)


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