◆ 平成15年12月26日 東京地裁 平15(ワ)16491号
原告 X1
原告 X2
上記両名訴訟代理人弁護士 ●●
被告 株式会社武富士
同代表者代表取締役 ●●
同訴訟代理人弁護士 ●●
主 文
1 原告X1の主位的請求を棄却する。
2 被告は、原告X1に対し、16万9814円及びこれに対する平成15年7月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告X2の主位的請求を棄却する。
4 被告は、原告X2に対し、10万円及びこれに対する平成15年10月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5 原告らのその余の請求を、いずれも棄却する。
6 訴訟費用は、被告の負担とする。
7 この判決は、2項及び4項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 原告X1
(1) 主位的請求
被告は、原告に対し、43万8610円及びこれに対する平成15年7月29日(訴状送達の日)から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
(2) 予備的請求
被告は、原告に対し、16万9814円及びこれに対する平成15年7月29日(訴状送達の日)から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2 原告X2
(1) 主位的請求
被告は、原告に対し、27万3542円及びこれに対する平成15年7月29日(訴状送達の日)から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
(2) 予備的請求1
被告は、原告に対し、31万7444円及びこれに対する平成15年10月28日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
(3) 予備的請求2
被告は、原告に対し、40万円及びこれに対する平成15年10月28日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
3 被告
原告らの請求をいずれも棄却する。
第2 当事者の主張
1 原告X1
(1) 過払金返還請求
(主位的請求)
原告は、被告から、平成8年1月に金30万円を借り受け、以後、被告との間で、別表5のとおり、返済及び借入を繰り返してきた。この取引経緯につき利息制限法所定の制限利率を超えて支払った部分を元本に充当すると33万8610円の過払いとなり、原告は同額の不当利得返還請求権を有する。
(予備的請求)
原告は、被告から平成8年1月に、金30万円を借り受け、以後、被告との間で、別表7のとおり、返済及び借入を繰り返してきた。この取引経緯につき利息制限法所定の制限利率を超えて支払った部分を元本に充当すると6万9814円の過払いとなり、原告は同額の不当利得返還請求権を有する。
(2) 損害賠償請求
原告代理人は、平成15年4月21日、被告に対して債務整理の受任通知を送付して取引経過の開示を請求したが、被告は、あえて平成12年3月以降の取引経過しか開示せず、原告X1には27万円以上の債務が残っていると主張した。原告は、平成8年1月10日付の当初契約書を保管しており、その後継続した取引があるのは明白であるのに、被告は取引開始当初から4年分の原告X1の弁済状況を隠し続け、開示しなかった。
原告は、被告の取引経過開示拒否により、本訴を提起せざるを得なくなり、被告は、本訴提起後、文書提出命令が発令されて初めて取引経過を開示した。被告は、過払いとなっていることを隠すため、終始開示を拒否し続けたもので、その開示拒否は悪質であり、貸金業法の趣旨及び金融庁の新事務ガイドラインに違反する不法な行為である。原告は、被告の開示拒否により本訴提起を余儀なくされて、精神的苦痛を被り、弁護士費用を支出することになった。その損害額は10万円である。
(3) よって、原告は、被告に対し、主位的に、過払金33万8610円及び不法行為に基づく損害金10万円の合計43万8610円及びこれに対する訴状送達の日から支払済みまで年6分の割合による金員の支払いを求め、予備的に、過払金6万9814円及び不法行為に基づく損害金10万円の合計16万9814円及びこれに対する訴状送達の日から支払済みまで年6分の割合による金員の支払いを求める。
なお、原告らが年6分の割合による遅延損害金を請求する根拠は、過払金は、被告の商行為たる貸金業務の金利が利息制限法に違反するために生じたものであり、被告の業務の直接の結果であること、被告が貸金を請求する場合、年6%の遅延損害金を請求できることに対応して、商行為の結果である過払金の請求についても同じく年6分の遅延損害金が請求できなければ公平ではないことによる。また弁済状況の開示を拒んだことによる損害賠償請求についても、被告の業務(商行為)としてなされたもので、同じく年6パーセントの遅延損害金を請求できるものと考える。
2 原告X2
(1) 主位的請求
ア 過払金返還請求
原告は、被告から平成8年10月に金50万円を借り受け、以後、被告との間で、別表2のとおり、返済及び借入を繰り返してきた。この取引経緯につき、利息制限法所定の制限利率を超えて支払った部分を元本に充当すると17万3542円の過払いとなり、原告は同額の不当利得返還請求権を有する。
イ 損害賠償請求
被告は、原告代理人から原告と被告との間の取引開始時からの取引経過の開示を請求されたにもかかわらず、これを拒否しており、被告の開示拒否行為は、貸金業法の趣旨及び金融庁の新事務ガイドラインに違反する行為で、不法行為である。
原告は、被告の取引経過開示拒否により、訴えを提起せざるを得なくなったため、精神的苦痛を被り、弁護士費用を支出することになった。その損害額は10万円である。
ウ よって、原告は、被告に対し、過払金17万3542円及び不法行為に基づく損害金10万円の合計27万3542円及びこれに対する訴状送達の日から支払済みまで年6分の割合による金員の支払いを求める。
(2) 予備的請求1
ア 債権譲渡と相殺
A 原告は、被告から昭和60年5月11日に49万円を借り受け、以後、被告との間で、別表8のとおり、返済及び借入を繰り返してきた。この取引経緯につき利息制限法所定の利率を超えて支払った部分を元本に充当すると、原告は、被告に対し、16万7365円の債務を負っている。
B 原告X2の兄である訴外A(以下「訴外A」という。)は、被告との間で、別表9のとおり返済及び借入を繰り返してきたが、この取引経緯につき利息制限法所定の上限利率により元本充当計算をすると、38万4809円の過払いとなり、訴外Aは、被告に対し、同額の不当利得返還請求権を有する。
C 原告は、訴外Aから、平成15年10月5日、Bの不当利得返還請求債権を譲り受けた。訴外Aは、被告に対し、同月7日、債権譲渡の通知をした。
D 原告は、被告に対し、平成15年10月27日の第1回弁論準備手続期日においてBの不当利得返還請求債権をもって、原告の被告に対するAの債務とその対当額において相殺する旨の意思表示をした。
イ 損害賠償請求については、(1)イに同じ。
ウ よって、原告は、被告に対し、相殺後の譲受債権残金21万7444円及び不法行為に基づく損害金10万円の合計31万7444円及びこれに対する平成15年10月28日から各支払済みまで年6分の割合による金員の支払いを求める。
3 被告の認否
(1) 1(1)のうち、過払金返還請求の主位的請求における取引経緯を否認し、予備的請求の取引経緯は認める。1(2)は争う。被告は、原告X1が本訴を提起した後に全取引経過を開示したが、取引経過の開示拒否は不法行為ではない。
(2) 2(1)アの取引経緯は否認し、2(1)イの主張は争う。被告は、原告X2が本訴を提起した後に全取引経過を開示したが、取引経過の開示拒否は不法行為ではない。
2(2)アAの取引経緯について、借入及び返済の状況は認め、弁済充当について争う。同Bは争わない。同Cのうち、債権譲渡通知がされたことは認め、その余は否認し、同Dは争う。
4 抗弁(原告X2の予備的請求1の過払金返還請求権の時効消滅)
原告X2は、被告から昭和60年5月11日に49万円を借受けて取引を開始したが、この取引は、昭和63年7月28日に完済により終了している(以下「取引経過1」という。)。そして、その後、原告が平成13年1月31日に被告から50万円を借りるまで、原被告間には取引が存在しない(以下、平成13年1月31日以降の取引を「取引経過2」という。乙1の1ないし3参照)。
したがって、取引経過1により生じた原告X2の過払金返還請求権は、その発生から既に10年以上が経過しており、被告は、平成15年10月27日の第1回弁論準備手続期日において、民法167条1項の消滅時効を援用する旨の意思表示をした。
取引経過2においては、乙4添付の法定利息計算書記載のとおり、利息制限法に従った充当計算をしても、なお、原告X2は、被告に対し81万7036円の債務を負担している。


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