◆ 平成15年11月18日 東京地裁 平15(ワ)14787号
原告 A
訴訟代理人弁護士 ●●
被告 株式会社ワールドファイナンス
代表者代表取締役 ●●
主 文
1 被告は、原告に対し、194万4308円及び内金154万5282円に対する平成13年11月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、被告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 原告の請求
被告は、原告に対し、194万4308円並びに内金154万5282円に対する平成13年11月21日から支払済みまで年5分の割合による金員及び平成15年7月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 当事者の主張
1 原告の請求原因
(1) 原告は、被告から、昭和63年10月1日に30万円を借り入れ、平成7年10月4日に76万7274円(原告の平成15年10月1日付け準備書面には「76万7294円」と記載されているが、同準備書面の別紙では「76万7274円」として過払金額等を計算しているから、この金額を主張しているものと解する。)を借り入れた。
(2)ア 原告は、被告に対し、別紙「年月日」欄記載の日に「弁済額」欄記載の利息を弁済した。原告が弁済した利息は、利息制限法所定の制限利率を超えるものであった。
イ 制限利率を超える部分を元本に充当すると、別紙の「残元金」欄記載のとおり、過払金154万5282円が発生している。
(3) 被告は、悪意の受益者である。したがって、被告は、超過利息を受領して過払金が発生した都度、その過払金に対する民法所定の年5分の割合による利息の返還義務がある。その合計額(最後弁済日の平成13年11月20日までのもの)は、別紙「利息」欄記載のとおり、39万9026円である。
(4) したがって、原告は、被告に対し、不当利得返還請求権に基づき、過払金154万5282円及び平成13年11月20日までの法定利息39万9026円の合計194万4308円並びに過払金154万5282円に対する同月21日から支払済みまで民法所定年5分の割合による利息及び訴状送達日の翌日である平成15年7月9日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
2 被告の認否及び主張
(認否)請求原因(1)は認める(平成7年10月4日の貸付額について、被告の平成15年7月24日付け準備書面には「76万7294円」と記載されているが、同準備書面の別紙計算書では「76万7274円」として過払金額等を計算しているから、この金額を主張しているものと解する。)。ただし、被告は、このほか、原告に対し、平成元年3月14日に15万円を貸し付けた。請求原因(2)のうち、アは認め、イは否認する。請求原因(3)は否認する。
(主張)
(1) 貸金業の規制等に関する法律(以下「貸金業規制法」という。)は、貸金業者を認知し保護している。したがって、登録を受けた貸金業者であった被告については、貸金業規制法が優先して適用され、利息制限法は適用されない。被告が原告から弁済を受けた利息は、貸金業規制法所定の範囲内であったから、法律上の原因があるものであり、不当利得ではない。貸金業者に利息制限法1条1項を適用することは、貸金業規制法そのものを否定することになる。仮に不当利得しても、自然債務として認められるべきものである。
(2) 不当利得返還請求の根拠とされている最高裁判所の判例は、貸金業規制法制定前のものであり、現代社会に合致しないものとなっている。これらの判例の考え方は、貸金業規制法による登録を受けずに貸金業を営む者だけに適用されるべきである。
(3) 原告は、被告との間で貸金業規制法に従って契約を締結した。原告が契約後に利息制限法を根拠に過払金の返還を請求することは、信義則に反し権利の濫用である。
(4) 原告の過払額は、次のとおり、最終弁済日である平成13年11月20日現在で93万8086円であり、原告の請求額は過大である。
ア 被告は、昭和63年10月1日、原告に対し、次の約定で30万円を貸付けた。
利息 年29.2パーセント
損害金 年29.565パーセント
元金の弁済期限 平成10年10月3日
利息の弁済期限 初回は貸付日から起算して30日以内。2回目以降は前回の利息支払日の翌日から30日以内ごとに支払う。
期限の利益喪失 原告は、利息の支払を1回でも怠ったときは、当然に期限の利益を喪失し、残元本と損害金を一時に支払う。
イ 被告は、平成元年3月14日、原告に対し、次の約定で15万円を貸付けた。
利息 年43.435パーセント。平成4年4月16日以降は年40.004パーセント
損害金 年43.8パーセント。平成4年4月16日以降は年40.004パーセント
元金の弁済期限、利息の弁済期限及び期限の利益喪失は、アと同じ。
ウ 被告は、平成7年10月4日、原告に対し、次の約定で76万7274円を貸付けた。
利息 年28.835パーセント
損害金 年29.2パーセント
元金の弁済期限、利息の弁済期限及び期限の利益喪失は、アと同じ。
エ 原告は、各貸付けにつき、利息の支払を怠り、アの貸金につき昭和63年10月31日、イの貸金につき平成元年4月12日、ウの貸金につき平成7年11月12日にそれぞれ期限の利益を喪失した。したがって、原告は、期限の利益喪失日から少なくとも利息制限法所定の範囲内の割合による損害金の支払義務がある。
オ 以上によれば、原告の過払額は、93万8086円にすぎない。
(5) 被告は、貸金業規制法所定の範囲内での契約に基づき原告から弁済を受けたものであるから、善意の受益者である。被告に法定利息の支払義務があるとしても、その起算日は訴状送達日の翌日とすべきである。
3 原告の認否
被告の主張(1)から(3)は、否認する。被告の主張(4)のうち、アの貸付けの約定は否認し、イは貸付け自体を否認し、ウは認め、エは否認する。
被告は、原告に損害金の支払義務があると主張する。しかし、原告に利息支払の遅滞があったとしても、被告は毎月の弁済を受領し、残元本の一括弁済を求めなかったから、遅滞を宥恕したものである。
第3 当裁判所の判断
1 被告の主張(1)から(3)までについて
貸金業規制法は、利息制限法所定の制限利率を超過する利息であっても、貸金業者が貸金業規制法17条及び18条の書面を交付した場合には、有効な利息の弁済とみなして利息制限法の適用を排除しているが(貸金業規制法43条)、これらの書面の交付がないときは、利息制限法が適用される。被告の主張(1)及び(2)は、独自の見解であり採用することができない。
原告が、利息制限法の適用を受ける貸付けに関し、同法を根拠とする不当利得返還請求をすることが信義則に反し権利の濫用に当たるとは認められない。


コメント